Overview
YAMAHA TRX850は、1995年にヤマハがリリースした、ビックボアツイン(大排気量二気筒)のスポーツバイクです。
850ccパラレルツインのエンジンは、270°位相クランクによる不等間隔爆発のお陰で、トラクションが得やすい特性を持っています。性能よりもフィーリング重視で開発されたエンジンと言えるでしょう。
美しく組み上げられたトラスフレームも特徴です。エンジンの反応や路面からの情報がつかみやすい、しなやかな車体を実現しています。
性能だけを重視するのではなく、ライダーにとってのわかりやすさを狙ったスポーツバイクがTRXなのです。
TRX誕生から終焉まで
1995年当時、国産車のスポーツバイクは4気筒マルチ一辺倒。性能至上主義が多勢を占めていました。
その結果、どのバイクもフィーリングに大差がない、金太郎飴的な状況をもたらしました。
一部のライダーは、より異質なフィーリングを求めて、DUCATIやハーレーなどの外車勢に移っていきました。
しかし、高額な車体価格やメンテナンス費用に泣くハナシは枚挙にいとまが無く(しかも大げさに伝わりがちで)、多くのライダーにとって外車を選択肢に入れ難い状況でした。
TRXの登場が、この状況に一石を投じました。
パラレルツインがもたらす軽快なエンジンフィーリング、軽量でしなやかな車体を操る楽しさに加え、国産車ならではの安心感や、手を出しやすい安価な価格などが評価され、国内でもツインスポーツに脚光が浴びるようになります。
その後、HONDA VTR1000やSUZUKI TL1000Sなどの後続車種が登場したり、高嶺の花だった外車勢も低価格化&品質向上によって手が出しやすくなり、ツインスポーツの選択肢が広がりました。
また、大型二輪免許が教習所で取得可能になった1997年以降、いわゆる「ビッグバイクブーム」も追い風となり、ツインスポーツのユーザー層が急拡大しました。
ビッグボアツインのスポーツバイクを、国内に普及させる立役者となったTRXですが、後続車種の追撃に遭い、徐々に市場での存在感が薄らいでいきます。
2001年から適用された排ガス規制を機に、モデルチェンジも無いままカタログ落ちとなってしまいました(TRX900の噂もあったのですが‥‥)。
商業的には成功したとは言ませんが、「性能だけが全てではない」という、ヤマハの心意気を感じるバイクでした。
Specification
YAMAHA TRX850 仕様諸元
| 形式 |
4NX |
| 全長 / 全幅 / 全高 |
2,070mm / 705mm / 1,155mm |
| 軸間距離 |
1,430mm |
| シート高 / 最低地上高 |
795mm / 140mm |
| 乾燥重量 |
188kg |
| 燃費・定地走行テスト値 |
33.0Km/L(60Km/h) |
| 最小回転半径 |
3.0m |
| 制動停止距離 |
14.0m(50Km/h) |
| エンジン種類 |
4サイクル・水冷・DOHC・5バルブ |
| 気筒数配列 / 総排気量 |
並列2気筒 / 849cc |
| 内径 / 行程 |
89.5mm×67.5mm |
| 圧縮比 |
10.5:1 |
| 最高出力 |
83.0ps / 7,500rpm |
| 最大トルク |
8.6kgf・m / 6,000rpm |
| 点火方式 |
TCI |
| 始動方式 |
セル式 |
| 燃料タンク容量 |
18L |
| エンジンオイル容量 |
4.2L |
| 潤滑方式 |
強制圧送ドライサンプ |
| バッテリー容量 / 形式 |
12V-10AH(10H) / YTX12-BS |
| 1次減速機構 / 減速比 |
ギア / 1.717(67/39) |
| 2次減速機構 / 減速比 |
チェーン / 2.411(41 / 17) |
| クラッチ形式 |
湿式多板コイルスプリング |
| 変速機形式 |
リターン式5段 |
| 変速比 |
1速:2.571 / 2速:1.850 / 3速:1.428 / 4速:1.173 / 5速:1.037 |
| フレーム形式 |
鋼管ダイヤモンド |
| キャスター / トレール |
25°00′/ 99mm |
| タイヤサイズ 前・後 |
120/60ZR17・160/60ZR17 |
| 制動装置 前・後 |
油圧式ダブルディスク・油圧式シングルディスク |
| 乗車定員 |
2名 |