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みなさん、こんばんわ。 くぬぎです。
>どろどろに端まで溶けたタイヤっていうのはカッコはいいですが、一度溶ける状態まで
>温度を上げたタイヤは路面温度が低いところでは極端にグリップが落ちるという話を
>聞いたことがあります。
>タイヤの技術情報にお詳しい方にお願いです。申し訳ないんですがコメントして
>いただけないでしょうか?
>
>転倒の原因がわかればma-saさんも安心して復活できるのでは?と思った次第です。
平○市で、タイヤのお仕事をしています。ma-saさんならどこかわかるかな???
結論を先に言いますが、皆さんがコメントされているように、サーキット走行等で
高温状況でタイヤを使い、溶けた(※1)後のタイヤはグリップがかなり落ちます。
ma-saさんのタイヤを見ましたが、端のほうはコンパウンドがかなり硬化していました。
寒かったこと+休憩後でタイヤが冷えていたことも加わり、グリップはかなり低い
状況だったといえるでしょう。
硬化した部分が削れてしまえばまたある程度の高い性能を出すんですが。
※1:正確に言いますと、溶けていません。分解してオイル状になっています。
ちょっと言葉に専門用語が入るかもしれませんが、ご容赦下さい。
モーターサイクル用のトレッドコンパウンドの主体は、SBRという化学合成ゴムです。
ゴムというのは高分子(分子が長く長く繋がっている)で、長いひも状をしており、
それが複雑に絡み合って、所々を硫黄というホチキスで止めてありますので、
引っ張ると伸びて、放すと元に戻る特性を持っています。カーボンは絡みあった紐の
中にいれる抵抗物みたいなもので、沢山入れると硬く、伸び難くなります。
ちょっと前置きがながいですが、
ゴムは変形すると、熱を発し、また路面との摩擦からも熱を生じ、この熱により
ゴムの分子が破壊され、長い分子が細切れにされますので、結果オイル状になってしまい、
またその際に熱による劣化が起こり、冷えると?硬くなってしまいます。
また、熱的な劣化だけではなく、機械的疲労からゴムの分子が破壊され、同じようなこと
になります。
また、ゴムはいろいろな化合物を加えることで特性を出しておりますが、温度依存性が
あります。用途や目標性能によりコントロールしております。
なかなかオールマイティな性能は難しいため、ハイグリップタイヤはある程度の温度が
高い状態で性能が出されるようになっています。(というか、低いところまでは無理?)
空気圧の話が常設掲示板の方で出ていましたが、タイヤは空気を入れて初めて製品としての
性能を出します。空気もタイヤという製品にとっては部品の一つです。というか、
主要性能をおもいっきり左右する重要な部品です。空気圧を好みにより微調整されることは
OKですが、しっかり管理して頂くことが重要です。
適正空気圧が入っていなければ、性能が出ないのは当然の事(ちがう部品を入れているのと
同じ事)なのですが、浸透していないのも事実です。
空気圧を変えると、コーナリングパワー・キャンバースラスト等の運動性能の他、
耐摩耗性、耐偏摩耗性、制動性能… 本当にすべての性能に影響を与えます。
空気圧により性能を左右するレンジは、仕様変更以上の影響を与えるものもあります。
ところが、その大切な空気圧が、タイヤというものは、
風船が時間がたつとしぼんでしまうように、タイヤのゴムも空気を通します。
タイヤ内面側には、ブチルという空気を通しにくいコンパウンドが使われておりますが、
それでもやっぱり空気を通します。なので、1ヶ月に一度はチェックすることをお勧め
します。私はツーリングに出る前は必ずチェックしています。
ゲージの話が出ていましたが、安いものでOKです。
ただ、やっぱり安いものだとずれがあってもおかしくないので、どうするかというと、
バイク屋さんにある立派なゲージで空気圧(例えば250kPa)を合わせた後に、持っている
安価なゲージで測定し(それが230kPa)、以後は安価なゲージで230kPaにあわせれば
いい事になります。それを複数の空気圧で行えばより完璧です。(キャリブレーション)
本当はゲージは1年に1度、更正が必要なのですが…
それと、空気圧測定は、かならず走行前に行ってください。空気は温度により体積を
簡単に変えてしまうものなので、コールドの状態での計測が必須です。
長くなってしまいましたが… 失礼します。
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